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イギリスの新株発行の実務の動向(推測を含む)
【2006年イギリス会社法の新株引受権の部分は、原則として2009年10月1日からの施行となっており、現在はまだ1985年イギリス会社法の該当部分が適用されておりますが、本記事では、特に断りのない限り、2006年イギリス会社法に基づいた記載としました。】

以前のエントリーでは、イギリスにおける株主の新株引受権について、主にイギリス会社法及び関連法規の規定ぶりという点からみてみました。
イギリスにおける株主の新株引受権(1)
イギリスにおける株主の新株引受権(2)

今回は、もう一歩踏み込んで、イギリスでの新株発行の実務の動向がどうなっているのかについて分かる範囲で調べてみました。以下では、主に上場会社の上場後の資金調達を念頭におきます。

資金調達方法のメニューとしては、大まかに以下のものが考えられます。

株主割当に相当する方法
Rights Issue: 株主割当の一形態。株主は、新株引受権を転売することで当該権利の価値を実現することができる。仮に、新株に応募をしなくても、新株引受権は株主のために転売される(失権しない)。ディスカウントは15%−20%が通常だったようだが、近時は40%のディスカウントなどの例もあるよう。

Open Offer: 株主割当の一形態。形式上は引受人が全発行株式を引き受けた上で、既存株主に申込みを勧誘する。Rights Issueとの違って、株主が応募をしなければ株主の引受権は失権し、引受人が引き受ける。なおOpen offer及び後述するPlacing、Vendor PlacingやOffer for Subscriptionは、FSAの承認がない限り10%以上ディスカウントできない(Listing Rules 9.5.10)

これらの方法は、株主割当に相当するので、授権枠に残りがあり、法551条(旧法80条)の権限の範囲内であれば、原則として株主の新株引受権の適用除外(Disapplication)をする必要がありません(注1)。

もっとも、外国人株主がいる場合(とりわけ問題になるのは多数の株主、個人株主がいる場合)には、募集関係書類を当該外国に送付するのは当該外国の証券取引規制上問題があることがある(特に米国、日本など)ため、適用除外(Disapplication)の手続(特別決議)を行った上で、Investment Bankに仮に割り当てた新株引受権を転売して利益を外国人株主に帰属させるという方法が取られることも多いようです(注2)。これは上場会社について株主割当を法律上の原則とすることの弱点かもしれませんね。

この点、外国人で英国内に連絡先住所(日本でいえば常任代理人)を有しないものに対しては、London Gazzeteへの公告で足りるとされているので、これを利用すれば募集関係書類を当該外国に送付しなくてもよいようですが、英国内に連絡先住所(常任代理人)を有するものについて英国内の連絡先住所に募集関係書類を送付した場合はどうなんでしょう?代理人は英国内にいるわけですが、代理人としてはおそらく契約上それを伝達する義務があるわけで、困ったことにならないのですかね(注3)。

第三者割当に相当する方法
Placing: これはいわゆる第三者割当で、機関投資家を割当先とすることが多い。実務上、多くの会社は、毎年発行済株式の約5%については新株引受権の適用除外(Disapplication)を行っていることが多いので(この理由については、以前のエントリーのPre-emption Groupについての説明を参照。)、これを超える場合に特別決議を経ることとなる。

Vendor Placing: 買主が対象会社の株式取得の対価として新株を発行し、結果として株式交換のような形となる。買主から見ると、非金銭である対象会社の株式を対価として新株を発行しているので、新株引受権の例外となり、新株引受権の適用除外(Disapplication)は不要。第三者である売主に株式を発行するという点で、一応第三者割当に分類した。

Cash Box Structure: 現金のみを資産とするSPVをJersey島などに設立し、当該SPVの株式と引き換えに新株を発行するもの(SPVはすぐに清算されて現金が取り出される。)。これも非金銭であるSPVの株式を対価として新株を発行しているので、新株引受権の例外となり、Disapplicationは不要。これも第三者であるSPVの設立者(Investment Bankなど)を割当先とするという点で、一応第三者割当といえよう。

公募に分類されるもの
Public Offering (Offer for Subscription): いわゆる公募。いろいろと資料を調べたのだが、IPO時以外の公募の実務について記述されたものはほとんど見つからなかった。但し、後述するように、公募も用いられていることは確か。金銭を対価とする限りは株主の新株引受権のDisapplicationが必要。

イギリスにおける新株発行の実務の動向
ロンドン証券取引所の2007年のデータを入手しました(生データはこちら。Table 3をご覧下さい。)。


これによると、Main Marketに上場済みの上場会社の増資方法は、Public Offer(公募増資)が147件、Placing(第三者割当)が98件(但しVendor PlacingやCash Box Structureがこれに含まれるかは不明)、両者の組み合わせが17件、そしてRights Issueが7件(Open Offerが含まれるかは不明。)、従業員のインセンティブ・オプションが265件。これによると、公募増資が中心という大杉先生のご理解は正しいようですが、金額ベースでいくと、第三者割当が6,758百万ポンドで、公募の1、179百万ポンドを大きく引き離す展開。理由はこれだけではよく分かりませんが、特に株主のDiversityを高めたいなどの理由がなければ、大口の資金を集める際には機関投資家に第三者割当が便利でコストも安いし、新株引受権をDisapplyする際の株主の承認も取りやすいということもあるのでしょうか。なお東証のデータを見ると、日本では件数も金額も第三者割当が公募を上回っていてこれは予想通りなのですが(とりわけ新規公開時を除けば歴然)、じゃあイギリスで少なくとも件数ベースではかなり公募が使われる理由(日本との違い)はどこにあるのだろうというのが次の疑問です。このあたりは周囲の人にもおいおい聞いてみようと思います。

(注1)但し、Class 1取引に該当する場合、関係者間取引(法190条)の場合には、株主の承認が必要。
(注2)Disapplicationを行うことによって、割当によって生じる一株に満たない株式を集めて市場で転売し、その利益を株主に帰属させるということも行われます。また、若干の日程短縮も可能となるようです。なお、例えば発行済の転換権付社債に新株引受権がある場合には、当該転換権付社債はOrdinary Sharesではないため、法と社債要項の両方を遵守するためには、Disapplicationを行わなければならなくなります。
(注3)話が大きくそれますが、似たような問題は実は日本にもあるように思います。新株予約権の無償割当が防衛策の一環としても利用される例が多いのは皆様ご案内のとおりですが、この新株予約権の無償割当は、金融庁の企業内容等開示ガイドラインの2−3で「会社法第277条の規定による新株予約権無償割当てについては、新株予約権の取得勧誘に該当することに留意する。」とされており、効力発生日(割当日)までに目論見書を交付する必要があります。外国人株主の場合は、通常は定款で常任代理人の指定が義務付けられているので、常任代理人に目論見書を交付することになると思いますが、常任代理人はこの目論見書をどうするのでしょうか。米国については、証取法2条(a)項(3)号で新株引受権を無償で既存株主に付与する行為は証券の募集にあたるが登録を要しないとされているので、アメリカ人株主が常任代理人からこの目論見書の送付を受けても問題ないということなのでしょうかね。何だかちょっと気持ち悪いところではあります。金商法で組織再編成に伴う有価証券の交付が募集又は売出しに該当することになったこともあり、「外国人株主」をどう扱うかという点は、従前議論されてきた議決権行使の場面だけでなく、株主への有価証券交付というところを意識すべき場面が増えたように思います。外国人株主と日本の株式会社との関係については、5%ルールを含めた実質株主の把握、カストディアン業務、株券ペーパレス化に伴う諸問題とも絡めてフォローしていきたい分野でもあります。
| Business & Law | 19:00 | comments(1) | trackbacks(0) |
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コメント
実務動向のアップ、お疲れ様でした(ありがとうございました)。イギリスは法も制度も謎が多い(分かりにくい)という印象を持ちましたが、めげずに私も調べていきたいと思います。

取り急ぎ。
| おおすぎ | 2008/01/31 2:09 PM |
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