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サッポロHD特別委員会の意見書(うーん)
「スティール買収で企業価値棄損」サッポロ特別委(MSN産経ニュース)

ということだそうですので、プレスリリースに含まれる意見書要旨を読んでみたんですけど、どうも何といったらよいか、この特別委員会の意見書は本当に取締役会の判断の役に立つのでしょうか、というのが率直な感想(まあ、要旨なので公開されていないすごい全文があるのかもしれませんけど、通常要旨にエッセンスはつまっているはず。)。

サッポロHDの大規模買付行為の対応方針によると、大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とし、あるいはその結果となる買付行為)があった場合には、サッポロHDとして大規模買付者に情報提供を求め、必要な情報提供を受けた後に取締役会による評価期間(60日-90日)に入ることとなっています。そして、この評価にあたっては、(1)大規模買付者が大規模買付ルールを守った場合には、原則として対抗措置は取らないが、例外的に「当該大規模買付が明らかに濫用目的によるものと認められ、その結果として会社に回復し難い損害をもたらすなど、[サッポロHD]株主全体の利益を著しく損なうと判断される場合」には適切と考えられる方策をとることがあり、(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、対抗措置をとることがある、という対応方針が定められています。

今回のスティールパートナーズの買収提案については、2007年12月6日から評価期間に入っているようです(スティール側がサッポロHDから2007年5月末に要請のあった追加情報を2007年11月まで提出しなかったという事情があるにせよ、2007年2月15日にあった買収提案(一応現時点で変更はないかどうか確認していますが)を今検討しているというのは、事前警告型で想定されていることとはいえ随分とゆっくりな気がしますね。)。そして、本年1月8日に以下の内容が特別委員会に諮問されています。
1. SPJSFが、本買付提案に記載された買付行為を行う場合、当該買付行為は、明らかに濫用目的によるものであり、その結果として当社株主全体の利益を著しく損なうものであるかどうかについて、調査・検討及び評価すること
2. SPJSFによる本買付提案の内容が、当社株主全体の利益に資する適切なものと認められるかどうかについて、調査・検討及び評価すること

この諮問に対する回答が本日の意見書というわけです。
これによると、スティールの買収提案は、サッポロHDの企業価値を毀損し、株主の共同の利益を著しく害するおそれが大きいとの結論が導かれています。

その理由の一つの柱は、スティールが経営支配権取得後の経営方針、経営チームに関する情報、投下資本の回収方針、スティール・グループに関する情報等、企業価値を左右すると考えられる重要な情報を提供していないから、企業価値が毀損されるおそれがあるというもの。これって、そうなんですかね。まあ、スティールの提案自体確かに抽象的でよくわからないし、矛盾もあるようにみえるのはそうなのですが、企業価値が毀損するという結論は情報が提供されていないことから、そんなに簡単に導けちゃうもんなのでしょうか。少なくとも、スティールによる買収提案価格に触れてそれを簡単にでも分析をする必要はないのでしょうか(一般論として情報は全く出さないけど、すごいプレミアムで買収しますという場合はどうなんでしょうか。もちろん、この場合は他のステークホルダーの利益の問題も出てくるかもしれませんけど。)。また、スティールがサッポロHDの保有する土地を売却して投下資本を回収して企業価値を毀損する価値が高いとありますけど、数字も示さないでそう言っちゃうのは少し乱暴ではないんでしょうか。遊休土地なら売ってもいいと思いますし、そもそも手持ちの土地を売るだけで投下資本を回収できるんでしょうか(あと、税金もあるでしょうし。)。まあ、かくいうぼくも数字は見ていないのですけど。

意見書が企業価値を毀損するもう一つの理由として挙げているのが、買付提案が66.6%の取得を目的としているにも関わらず、取得後の少数株主の取り扱いについて具体的に明らかにしていないという点。そもそも提案が66.6%なのは、近時の改正によりTOBにおける全部買付義務が部分的に導入された際に、TOB成立後の保有割合が3分の2以下となる場合が例外とされたことが背景にあると思われます(金商法27条の13第4項及び同施行令14条の2の2。逆に3分の2超となると全部買付義務を課される)。まあ、いうなれば法律で認められたギリギリのラインなわけです。確かに、将来における二段階買収による強圧的買収が起こるリスクはないわけではないですけど、66.6%の買収だからといって直ちに強圧的二段階買収に該当し、企業価値を毀損するといえるのか【2月5日追記:意見書は強圧的二段階買収に該当する「可能性が高い」としていますが、その直前で「このような公開買付けは正当な目的のものとはいい難い」ともしています。】。このあたりはブルドックソース事件の法的検討〔下〕(商事法務1810号15ページ)において田中亘先生も触れられています。
・・・そもそも強圧性の問題に対しては、公開買付規制の改正によって対処するのが本筋であり、これに対処するために買収防衛策を認めよという主張は、もともと筋のよくない主張である。なぜなら、強圧的な公開買付けは、何も敵対的買収に限らず、たとえば支配株主あるいは経営陣の行う非公開化取引においても起こりうるからである。・・・

まあこの直後に田中先生も述べているようにリスクがあるから防衛策を認めるべきという反論もあるんですけど、脅威の程度についてプラスαが必要なんじゃないかなという気がするんですよね。
【2月5日追記:スティール側は、一応Squeeze Outの意図はない旨回答しているんですよね。この信用性についてはいろいろ議論があるかもしれませんけど、それ以上の回答を求めるとなると「不利でない条件で全部買付しろ」と言っているのと同じような気がするんです。66.6%というのはギリギリ特別決議が通らないレベル。金商法もそのあたりを考えて3分の2以下の場合には全部買付義務を課さなかったわけです。また、意見書は上場廃止による売却機会の喪失も強圧性に寄与するように書いていますが、東証では昨年11月に「少数特定者持ち株比率」に代えて「流通株式比率」を新たに導入して、流通株式比率5%未満を上場廃止基準としているところ、10%以上の株主がスティールのみという現在のサッポロHDの株主構成において、66.6%の取得でこの基準に該当する可能性が高いと本当に判断したんだろうかという疑問もあります(仮に66.6%超のTOBなら全部買付義務がトリガーされる。)。逆に、「二段階買収をする際には最初のTOBと同じ条件にする」と言ってもらったら安心する・・・というわけでもないと思うので、やっぱり特別委員会が懸念しているのは後述したようにスティールの属性に対する不安なんではないですかね。ごちゃごちゃと追記してきましたが、考えてみると、実際にTOBがローンチされない限りは実際の買収条件というのは決まらないわけで(スティールは全く別の条件でTOBをかけることも考えられないわけではない)、この段階で強圧性うんぬんを議論する意味ってあるのかなあなんて・・・そんなこと言っちゃったら身も蓋もないか。でも、これって事前警告型買収防衛策に内在する問題なのでは・・・とちょっと自分でもよく分からなくなってきたところで追記終わり。】

あと、意見書は、「ブルドックソース事件最高裁決定は、SPJSFの公開買付けによる経営支配権の取得が、会社の企業価値を毀損し、株主の共同の利益を害することになるとした株主総会の判断を、「経営権支配権取得後の経営方針を明示せず、投下資本の回収方針についても明らかにしなかったことなど」を理由として、その正当性を認めた。」としていますが、この部分に関して最高裁の判断枠組みは、(1)企業価値の毀損及び株主の共同の利益が害されるか否かについては最終的に株主自身により判断されるべきものであり、(2)株主総会に判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り当該判断が尊重されるべきというものであり、(2)の部分について
[株主総会の]判断は、[スティール関係者]において、発行済株式のすべてを取得することを目的としているにもかかわらず、相手方の経営を行う予定はないとして経営支配権取得後の経営方針を明示せず、投下資本の回収方針についても明らかにしなかったことなどによるものであることがうかがわれるのであるから、当該判断にその正当性を失わせるような重大な瑕疵は認められない。
(最決平成19年8月7日より)

と言っているに過ぎないのですよね。経営方針等を示さない=企業価値を毀損するというのではなく、経営方針を示さないことを理由に企業価値を毀損するとした株主総会の判断=株主がそう判断したことも了解可能といったこの2つのニュアンスは随分違うように思うわけです。

こうして見てくると、意見書は直接は買収者の属性に触れずにアプローチをしているものの、どうも結論を導き出す理由に説得力はないように思います。むしろ直接は言っていないものの、スティールによる買収=企業価値を毀損という判断がまず先にあるような気もしてしまうのですよね。特別委員会の人が次のようなことを言うのもちょっと余計なことのように思いますしね。そもそも正当性は特別委員会の判断事項ではないし、意見書があれば正当性ありなのかとも思いますしね。
武藤氏は、特別委員会が「企業価値を大きくき損する」と判断したことで、買収防衛策発動に関しては「正当性という点では整った。買い付け行為があった場合には、発動することの正当性はある」と述べた。サッポロHDの場合、すでに買収防衛策発動導入で株主総会の判断を経ているため、必ずしも株主総会の判断は必要なく、取締役会の判断で足りるとの認識を示した。
【追記2月5日:山口先生のエントリーをみて、以下の一文にも引用範囲を広げました。確かにこちらも引用したほうが全体の趣旨が分かるように思います。】
また、買収防衛策の内容が公平性などに照らして妥当かどうかは「相当性の判断になる」とし、具体的に発動された防衛策についての判断になるとした。
正当性の点では、買収防衛策発動の条件整う=サッポロHD特別委(ロイター)

ただ、買収主体が誰であるか、どういう実績を持ってきた人々かというのは確かに重要な要素だと思うんです。だから、本意見書は「濫用目的」について認定しない理由を縷々述べて大規模買付ルールの解釈論を展開するよりも、むしろ濫用的な面があるかどうかについて、最終的な結論は出せなくても【2月5日追記:大量買付者の属性を含めその買付提案が濫用的なものであるか】正面から分析したほうがよかったのではないかと思ってしまいます。確かに濫用目的かどうかは認定が難しいですし、防衛策発動を正当化するために必ずしも必要でないというのは意見書要旨にあるとおりかもしれませんけど、「濫用目的」というのは、現行のサッポロHDの大規模買付ルールにも入っているわけですし、諮問事項として明確に書かれているのですからね。ブルドックソース高裁決定のように裁判所が軽々に濫用的買収者を認定するというのには反対ですが、特別委員会が買収者の属性についても分析して一定の意見を出したということであれば、仮に将来取締役会の決定の正当性が問題となった場合に(裁判所がそういう判断枠組みを取るのかどうかもまだ分かりませんが)、その正当性判断の基礎にはなってくるのではとも思うのです。そして、特別委員会に期待されているのは本来そういった論点・議論を出すということだと思うのです。

防衛策の内容についてもいろいろと理論的な研究も進んできている中で、買収提案について取締役会の諮問を受ける特別委員会の意見の注目度というのも高まってきており、そのような中で会社のために中立公正な意見をとりまとめるのは大変なご苦労だと思います。ただ、今回はちょっと拍子抜けしたというのが正直なところでした。今後は、ぜひ、敵対的買収のシーンでもカブドットコム証券の意見表明のようなガチンコの意見書が出てきてほしいものです。

(事前警告型で情報開示を促したのであれば、相手方が情報を開示していないことの指摘も含めて今度は会社側が改めて経営プランを提示し、防衛策を発動せずにTOBの結果に委ねるということでもいいのになあ・・・。)

【2月5日追記:いつものことですが、あとから他のブログ等もふまえて読み返すと、いろいろと考えたつもりで書いていても、雑であったり、言い過ぎだったり、逆に言いたいことを十分に言えなかったり、でも実際に書いてみて分かることもあるし、疑問のままに終ることもあるし、また自分の今の理解不足を露呈してしまったりするもので、このエントリーはそんなレベルと思って笑読していただければ。】

| Business & Law | 23:40 | comments(1) | trackbacks(0) |
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コメント
コメントありがとうございます。
私も個別事例を調べて(半分趣味ですが)それほどでもないのですが、ABNアムロ銀とS&Nでは分割買収というちょっと日本で考えられない買収提案だったので、つい追いかけたしだいです。
日本では買収後、資産売却、分割をやったりすると、「会社を食い物にする」とみなされかねないですから。

英国での実際のところ(海外からの投資を歓迎する意見がどちらかと言えば、大勢を占めるような日本の紹介ですが、一方では、資本のみならず、職場でもウインブルドン化しているとも聞いて)それを英国人が本音でどう思っているのかなあなんて関心があったりします。
私の友人が英国に学生時代にホームステイした家では夕方5時半に主人が家でくつろぐような家庭だったらしく、びっくりしていました(もう15年以上も前ですが)。
欧州的な生活のゆとりみたいなものが、なくなっているのかなあなんて個人的に思ったりもします。

今後ともよろしくお願いします。
| gonchan | 2008/02/09 8:37 PM |
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