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なぜGMは、Chapter 11を申請しないのか
GMの再建計画提出の報道を見ていて考えていたのは、なぜGMは、Chapter 11を申請しないのか、申請を回避しようとしているのかという点です。

米GM債務再編交渉続く、過剰債務が最大のリスク(ロイター)

Chapter 11は、DIP型の再建手続で、経営陣はそのまま残ることができますし、事業も継続することができます。その上で、各クラスの債権者の多数決(債権者数の過半数、債券額の3分の2)により、(個々の債権者の同意がなくとも)債権カット、債務の株式化などの方策を取ることができ、現実に大手航空会社などもこの手続を利用してきました。

で、GMの再建計画(US TreasuryのWebページからダウンロード可能)に何か手がかりはないだろうかと思って見てみました。資料を入れて100ページを超えますので注意。ざっと目次をみて、Appendix LにBankruptcy Analysisというのがあるのを発見。

これを読むと、GMは倒産手続に入ることによる売上の減少、すなわち消費者が倒産手続中の会社からは車を買わなくなるということを倒産手続を回避する大きな理由として挙げているようです。でも、これってそのまま鵜呑みにできるのでしょうか。確かに会社が危機に瀕していることを多くの消費者が知らないような場合には、銀行や大口債権者との間で私的整理を進めた方が営業に対するインパクトが少なくなるというのはありますが、これだけ大々的に経営危機だと報道されて、アメリカ政府に支援を求めているGMなのですから、もうその報道だけでGMを買わないという人もいるのではないですか。倒産手続に入っても会社がなくなることはない、むしろケジメをつけて健全な財務体質の会社になって戻ってくるとのメッセージではダメなのでしょうかね。まあ、GMという会社が「倒産した」というのは一般のアメリカ人には大きなショックを与え、「Bankruptcy」という言葉が一人歩きする危険はもちろんあるでしょうし、航空券や消費材ではなく、自分の手元に残る高い買物をするということに心理的抵抗感があるというのは分かるのですけどね。

もう少し説明を読み進めて行くと、Chapter 11をPre-solicited、Cram-down、Traditionalの3つの運用方法に分けて、これを提案の私的整理案と比べていたり、GMのBSとCapital Structureについての分析と絡めて短期の交渉で削減できるのは、無担保社債とVEBA(任意従業員福利厚生基金)であり、その削減額には自ずと限界があること、その他の債務も削減するためにはより時間がかかるTraditionalなChapter 11によらないといけないが、それにより失われるものも多い、つまりスピードが重要ということが書かれています。

ちなみに、GMの2008年9月末時点での資産は1100億ドル、負債が1700億ドル。この負債のうち、商取引に関する負債が518億ドル、年金や福利厚生基金が464億ドル、通常の担保付及び無担保負債が452億ドル、その他が260億ドルとのことです。すごい数字ですよね。

次に書いてあるのが、GMのChapter 11申請がGMACのEvent of Defaultをトリガーするリスクです。GMACは、GMの金融関連会社で、GMはこの会社を通じて顧客に低金利のローンを提供して車を買ってもらうというビジネスモデルなわけですが、GMACはローン原資をさらに借り入れによってまかなっているので、この借り入れを返済しなければならなくなると、GMAC自体の資金繰りが行き詰まるだけでなく、顧客にも車を買える資金を融資できなくなるということで大きな問題が生ずるわけです。これを回避するためには、GMACにも資金提供しなければならなくなり、DIPファイナンスで必要な金額が遥かに大きくなるというのがGMの主張です。これは理解可能ですが、きちんと法的手続をとってバランスシートを整理すれば、追加のDIPファイナンスを政府から受けることも可能なのではないかという気もするのですけどね。

日本では金融債権と商取引債権を区別できないというのも私的整理を使う一つの理由として説明されることがありますが、Chapter 11はその辺は柔軟で、頭数が少なく金額の大きい無担保社債とVEBAを各クラスとして、そのクラスをターゲットに債務の削減をすることができるというのが当然の前提になっているようです。

以上が、GMの説明で、日本でも議論されている私的整理のメリットと言われる点をカバーはしているのですが、つっこみどころはそれなりにありそうですし、逆にデメリットとしてよく言われる点、すなわち債権放棄や債務の株式化の額が十分なのか、これだけの規模の再建計画なのだから他の債権者にも多少は痛みを分かち合ってもらうということは本当にあり得ないのか、といった点についても問題となるはずです。このご時世、売上の上昇に過度の期待はできず、売上目標を達成できない可能性もあるわけですから、やはりしっかり債務を整理しておくということが必要だと思うのです。

結局、当面の運転資金を確保するのにアメリカ政府に頼らなければならないということなのかもしれませんが、私的整理が失敗した上での破産法申請は逆に手遅れにもなりかねないので、アメリカ政府がどのように再建計画をレビューするのか要注目です。長々と述べてきた割にはいつもどおり歯切れの悪い結論ですが、再建計画に直接あたって勉強になりました。日本の倒産法実務とも重ねつつ、今後の動きを見守ろうと思います。
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